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 国際相続でよくあるケースは、日本に滞在していた外国人が亡くなった場合と、海外に銀行口座を有する日本人が亡くなった場合です。
 以下、詳細についてご説明します。



1.日本に滞在していた外国人が亡くなった場合

 日本に滞在していた外国人が亡くなった場合、まずどのような手続をすべきか、次に相続手続はどうなるのか、最後に外国人が書いた遺言をどのように取り扱うべきかが問題になります。

(1) 外国人の死亡届等の提出
 日本に滞在する外国人が死亡した場合、まず、死亡届等の提出をする必要があります。すなわち、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役場に、死亡届を死亡診断書とともに提出しなければなりません。
 また、市区町村役場で外国人登録の抹消手続をする必要があり、さらに、死亡した外国人の大使館などに届け出が必要になる場合もあります。

(2) 外国人からの相続
 日本に滞在する外国人の遺産相続に関しては、国際的な身分関係を定めた国際私法である法の適用に関する通則法に従います。法の適用に関する通則法第36条では、「相続は被相続人の本国法による。」と規定されています。したがって、相続開始の原因、相続人の範囲、相続順位、相続分などに関する事項は、日本の法律ではなく外国人の本国法が適用されるので、この本国法を調査する必要があります。
 なお、相続の準拠法の決定方法には、相続統一主義と相続分割主義があります。
 相続統一主義とは、遺産の種類が動産か不動産を問わず、被相続人の本国法によるとするもので、日本、韓国、台湾、ドイツ、イタリア、スペイン等が採用しています。
 相続分割主義とは、相続を動産の相続と不動産の相続とに分割し、動産の相続については被相続人の住所地法または本国法により、不動産の相続は所在地法によるとするもので、アメリカ、イギリス、フランス、中国等が採用しています。

(3) 外国人が書いた遺言
 法の適用に関する通則法37条では、「遺言の成立及び効力はその成立の当時における遺言者の本国法による。」と記載されています。
 ただし、法の適用に関する通則法43条2項には、「この章の規定は遺言の方式については適用しない」と規定されており、遺言の方式については、遺言の方式の準拠法に関する法律第2条及び第5条に以下のように規定されています。

第2条(準拠法)
 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立または死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立または死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立または死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

第5条(方式の範囲)
 遺言者の年齢、国籍その他の人的資格による遺言の方式の制限は、方式の範囲に属するものとする。遺言が有効であるために必要とされる証人が有すべき資格についても同様とする。

 したがって、日本に滞在していた外国人が死亡した場合は、日本の法律に従って遺言の方式の有効性を判断することになります。



2.海外に銀行口座を有する日本人が亡くなった場合

 海外に銀行口座を有する日本人が亡くなり、その財産を日本に滞在する相続人が相続する場合は、日本にある財産を相続する場合と異なり、手続がとても煩雑になります。
 なぜなら、海外にある銀行との英語等でのメールのやりとりが必要になり、また、公証人役場や外務省での認証や、行政書士または弁護士によるパスポートの認証等が要求される場合が多いからです。さらに、国際相続をするためには、とても時間がかかることが多いのが実情です。
 そこで、当オフィスは、国際相続をスムースかつ迅速に行うことができるようにサポートを致します。

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